経済政策 economic policy 2004 1 15
今までの政策、
たとえば、通貨供給量を増やすとか、
量的緩和をするとか、
そういう政策は、効果がなかったことが、わかったでしょう。
こういう政策は、古いのです。
少なくとも、日本では、企業の延命治療にはなっても、
景気回復には、効果がないのです。
こんなことをしても、
豊富な資金は、国債相場に流れてしまい、
結局、国の資金となっていたのです。
幸か不幸か、昨年の6月と8月にあった国債相場の崩壊により、
国債相場に流れていた資金が、少しは民間に流れるようになったでしょう。
去年の国債相場の崩壊は、金融関係者にとっては、不幸だったが、
あれが、経済再生の転換点となったのです。
日本とアメリカは、違うのです。
アメリカ人は、借金をしてでも、消費をするが、
日本人は、そんなことはしないでしょう。
たとえば、住宅ローンの金利が、大きく引き下げられた場合に、
アメリカ人は、ローンの借り換えで、できた資金を、消費に回すのです。
日本人には、理解できないが、
アメリカにおいて、金利の引き下げは、効果があるのです。
しかし、日本においては、それほど効果がないのです。
日本人は、さすがに借金をしてまでも、消費をしようとは考えないのです。
せいぜい日本人の借金とは、マイホームぐらいです。
しかも、いつまでも、ゼロ金利を続けていると、
個人消費は、回復しない。
ある調査では、国民の8割が、
株式投資に関心がないというアンケートがあるのです。
株や投信が多いアメリカ人と対照的です。
日本では、株で資産を作らない民族性があるのです。
何で、資産を作ると考えているのか。
それは、やはり、多くの国民は、
コツコツと貯金を貯めて、資産を作ろうと考えているのです。
そういう状況で、ゼロ金利を続けると、どうなるか。
多くの国民は、不満を持ち、社会のモラルは低下するのです。
つまり、日本において、
ゼロ金利は、時代遅れの企業に対する延命治療に近いのです。
また、巨額の「個人金融資産」の半分は、
60歳以上の高齢者が、所有していると言われます。
こういう高齢の人たちは、
リスクのある株式投資で資産を運用したいとは思わないでしょう。
ここで、ゼロ金利を実施すれば、
こういう高齢者の消費活動を冷やします。
こういう高齢の消費者には、ある程度の金利が必要なのです。
ところで、一部の若者には、
「デフレ好況」というものが流行しています。
なぜならば、彼らは、マイホームのローンなどの借金がなく、
デフレで、モノの値段が下がっていくのを楽しみにしています。
これは、「改革の終わった大企業」も、同じ感覚でしょう。
また、借金のない新興企業も、同じ感覚でしょう。
政府がやるべきは、
日銀に責任転嫁するのではなく、
時代遅れとなった社会システム、
時代遅れとなった官僚制度、
時代遅れとなった規制、
時代遅れとなった政治・官僚・業界の癒着、
こういうものを改革すべきなのです。
それから、日本人にあった、日本人のための経済学を作るべきです。
日本の学者に多いのが、外国で完成した学問を日本に持ってきて、
学者と称している。
しかし、こういう人は、学者とは言わない、翻訳業なのです。